2014年7月17日木曜日

美容皮膚科学会

先週は土曜日を休診にさせていただいて
学会に参加してきました。
美容皮膚科学会は他の皮膚科の学会とは少し雰囲気が違いますね。
まず、女性の参加者が多いのと
参加する方も講演される方も
若い方が多いように思います。
また企業展示のブースもかなりのにぎわいでした。
美容皮膚科の領域といいますと、自由診療を含むことも多いですので、
大学病院に勤務されている方よりも開業医の先生の割合も高いようです。
興味深いトピックスについていくつかこちらでも御紹介させて頂きたいと思います。
1. トレチノイン
 トレチノインは皮膚のターンオーバーを促進することは知られており、日本では、どちらかというとシワの治療に用いられますが、濃度を上げることにより、シワよりもシミの治療に非常に有効とのことでした。ハイドロキノンとの併用により相乗効果もありますので、当院でも引き続き、積極的に取り入れていこうと考えています。

2. にきび跡
 にきび治療のゴールは「微小瘢痕の予防」というご発表がありました。にきびの治療にディフェリンは標準治療として用いられていますが、ある意味予防的に投与を継続することで微小瘢痕の予防につながるということでした。日本では予防という概念のために保険診療を行うことはすすめられていませんが、ディフェリンについては、予防目的に使用することが重要であるということでした。

3. IPL
  IPLに関する最新の知見も得ることができました。いわゆるskin rejuvination として全顔に照射した後に、より波長の短めのもの(510nm 程度)をより濃いシミに照射することにより、効果を高めるということでした。ぜひ取り入れていこうと思っています。
 より波長の短い420nm 程度の波長がにきびに効果的という発表がございました。当院でのIPL装置ソラリでもカットフィルターを用いてにきびの治療を行っています。吸収波長を有するポルフィリンに効果的に働きにきびを改善すると考えられています。

4. ケミカルピーリング
 ケミカルピーリングは、角質の除去により、毛孔閉塞の改善をもたらし、にきび等に効果があることは知られています。サリチル酸マクロゴールや、グリコール酸等が使用されていますが、それそれの利点を改めて確認することができました。当院ではサリチル酸マクロゴールを使用しています。安全性という意味では極めて優れていますし、十分な角質除去能を有しているとのことでした。

5. 女性のびまん性脱毛
 薄毛で悩まれている女性は非常に多いですね。
分類として
a. 男性型脱毛症
b. 休止期脱毛
c. 加齢による変化
と分けられます。
休止期脱毛を来すものとして、
甲状腺機能異常、膠原病、梅毒(2期)、
肝機能障害、腎機能障害、糖尿病、悪性腫瘍等が
あげられます。
まず、これらをスクリーニングし、さらに
薬剤性の可能性を否定することが重要です。
ある種の抗うつ剤、高脂血症の薬剤等で
脱毛症が起きることも知られています。
現在、女性のびまん性脱毛症に対して、
日本で使用可能な治療(いわゆるエビデンスがあるもの)は、
1%ミノキシジル(女性用リアップ)のみです。
なかなか大規模な治験を行えないのが原因の一つですが、
海外では少しづつエビデンスが出て来ているようです。
いくつかの薬剤は個人輸入というかたちで導入も可能なようなので、
当院としても、
出来る限りのことをと考えています。

微力ながら貢献していきたいと考えています。